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仮名手本忠臣蔵 [音楽]

昨日までの小春日和が一転、冷え込みが厳しくなっています。
快晴の空は誠に美しく清々しい限りですが、風も強くてさすがに身に応えますね。
風邪やインフルエンザの流行は予想以上に猖獗を極めていて、私の職場でも罹患して休む人が急増しています。
私もまだ完全には風邪が抜け切ってはおらず、だましだまし出勤しているような状況で、何ともやりきれないものを感じますね。

三宅坂にある国立劇場は、今年、会場50周年を迎えました。
記念公園が目白押しの中、先日、文楽「仮名手本忠臣蔵」を観てきたところです。
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長尺の演し物なので、大序から六段目までを第1部、七段目から十一段目を第2部として、分けて上演されることが多いのですが、今回は通しでかけられました。
ただ、時間の都合もあって、私は第1部(大序から六段目)までしか観ることができず、その点はいささか残念でしたが、それでも、朝の10時30分から短い休憩を二回はさんで16時過ぎまでかかるのですから、見ごたえは十分です。
しかもこの中には「塩冶判官切腹(四段目)」「早野勘平の腹切り(六段目)」など、涙なくしては観られない名場面もありますし。
1966年に建てられた国立劇場の客席の椅子のすわり心地はあまりよくなく、長い時間座っているとお尻が痛くなるのですが、それでも時間を忘れて舞台に見入っていました。

仮名手本忠臣蔵自体は、正しく人口に膾炙された演し物ですから、内容についてわざわざ記す必要もないことでしょう。
「芝居の独参湯」とも呼ばれ、経営難に陥った芝居小屋でも、これをかければ大入り満員、一気に黒字に転換といういわば打ち出の小槌みたいな演目ですから。

幕藩体制の中で、幕政にかかわる演目をそのままかけるのはご法度だったこともあり、時代を足利将軍時代に移し替え、四十七士をいろは仮名47文字で暗喩した「仮名手本」という名前を付するという、なかなかに気を使った背景もありますが、もちろん当時の観客も題材となっている事件を念頭に楽しんだわけで、足利将軍時代にはなかった鉄砲が出てきたり、暦応では生まれてすらいなかった世阿弥作の「高砂」が出てきたりと、時代背景はむちゃくちゃです。
まあ、幕府も、体裁だけは暦応年間ということにしてあるし、登場人物も足利直義や高師直にしてあるからお目こぼし、ということなんでしょうね。
あまりうるさいことを云って民草の楽しみを奪ったり反感を買うのは得策ではないと考えたのでしょうし。

私は活字としての浄瑠璃が好きで、文楽そのものについてはさほどの知識を持たないのですが、それでもこうして舞台で人形の動きを観つつ太棹と義太夫語りを聴くのは楽しみの一つです。
今回の演し物は浄瑠璃中でも大作なので、大夫も三味線もたくさんの演者が任に当たりました。
若い方々もたくさんおられ、こうした伝統芸能を受け継ごうとする確かな流れがあることもうれしく思った次第です。

さて、舞台の方ですが、やはり六段目の勘平の腹切りには参りました。
話の筋を知っていても、泣けて泣けて仕方がありません。
終わった後に連れ合いの感想を聞くと、眠っていてよくわからなかったといいます。
おいおい、それはないだろうと難詰したところ、連れ合いの隣に座っていた、いかにも観劇慣れしたように見える和装のご婦人もずっと寝ていたよ、といいます。
それを聞いて、もったいないことだなとは思いましたが、浄瑠璃も音楽の一つですから、素晴らしい演奏を聴きながら眠るのもそれはそれでいいことかもしれませんね。

久しぶりの文楽の実演を観ましたが、人形の演技はもとより大夫や三味線などの音曲も十分に楽しめ、第1部だけとはいいつつも大変満足しました。
ただ、これは私だけの感覚なのでしょうが、人形遣いが素面・裃で操る姿にどうしても違和感を感じざるを得ません。
せっかく人形が絶妙な演技をしているのに、その人形に寄り添う人の顔がそのまま見えたのでは興覚めに思えるのです。
やはりこれは黒子であって欲しいな、と。

帰り道、赤坂プリンスのクラシック・ハウスに立ち寄りました。
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せっかくなので、中に入ってお茶を飲んだのですが、良い雰囲気の割には価格もコーヒーが一杯500円と、比較的リーズナブルでおすすめです。

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コメント 6

のら人

浄瑠璃ですか。未だに見た事が無いです。^^;
内容は忠臣蔵なのですね。
それならば理解できると思います。^^
コーヒーですが最近大手町の喫茶店で貧相で不味いアイスコーヒーが550円だったので少々腹が立ちました。(笑)
by のら人 (2016-12-12 02:21) 

伊閣蝶

のら人さん、こんばんは。
忠臣蔵という題材であることもあり、大変わかりやすい演目です。
機会がございましたら是非ともご覧ください。
このところ、お店で喫するコーヒーには価格も含めてがっかりさせられることが多かったので、ここのコーヒーにはちょっとうれしくなりました。
by 伊閣蝶 (2016-12-13 00:00) 

ぼんぼちぼちぼち

あっしも人形浄瑠璃、生で観たことないので 一度観てみたいと思ってやす。
やはり初めて観る演目は、このように解かりやすいものがよさそうでやすね(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2016-12-13 21:55) 

tochimochi

浄瑠璃は見たことはありません ^^;
しかし忠臣蔵なら分りそうですね。
見ていて涙されたということですから、やはり相当な迫力なのでしょうね。
そのうち見てみたい気がしてきました。

by tochimochi (2016-12-13 22:53) 

伊閣蝶

ぼんぼちぼちぼちさん、こんばんは。
浄瑠璃というと古典芸能で文語調なので分かりづらいという先入観を抱きがちですが、聴いてみると非常に分かりやすい言葉です。
忠臣蔵は話の筋が有名ですからなおのこと。是非とも観劇してみて下さい。
by 伊閣蝶 (2016-12-14 20:17) 

伊閣蝶

tochimochiさん、こんばんは。
浄瑠璃は歌舞伎以上にご覧になる機会が少ないと思います。
でも、能などに比べれば、とっても分かりやすく、話の筋もすうっと胸に落ちます。
涙してしまったのは恥ずかしい限りですが、これは人形浄瑠璃という不思議な表現形態によるところも大きいかもしれません。
機会がございましたら、是非ともご覧下さい。
by 伊閣蝶 (2016-12-14 20:19) 

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