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バルビローリ&ウィーン・フィルのブラームス交響曲全集 [音楽]

穏やかなお天気になりました。
昨日は肌寒かったので、特に春の温もりを感じます。

そんな肌寒いさなか、お花見に出かけました。
アークヒルズの桜坂を起点にしましたが、ライトアップもなされていてなかなか感動的な眺めでした。
sakurazaka201604.jpg

もうだいぶ古い情報で恐縮ですが、サー・ジョン・バルビローリ指揮ウィーン・フィルによるブラームスの交響曲全集のCDが発売されました。


1966年から67年にかけてのセッション録音で、4つ交響曲のほかに「悲劇的序曲」「大学祝典序曲」「ハイドンの主題による変奏曲」という「定番」の曲目もセットされており、三枚組で1470円と、信じられないほどのお買い得品です。

バルビローリはイギリスの出身ですから、ヴォ―ン・ウィリアムズやディーリアスといったイギリス音楽を得意としたのはもちろんのことですが、ブラームス、マーラー、シベリウスの作品でも超絶的な名演奏の録音を残しています。
客演したベルリン・フィルのメンバーを感激させ、是非にと楽団員から望まれて録音したマーラーの交響曲第9番は正に歴史的な名演ですし、オケの性能としては少し見劣りのするハレ管弦楽団を指揮したシベリウスの全集録音も素晴らしいものでした。

オーケストラから「是非に!」と望まれる指揮者は本当に幸せ者だと思いますが、もちろんそれは当人にそれだけの素晴らしい資質が備わっているからにほかなりません。
ウィーン・フィルのメンバーも、バルビローリを「神がかり的」と讃えて、この録音を残した。
その両者の想いがたっぷりと詰まった演奏といえるのではないでしょうか。

ウィーン・フィルが古今東西を通じて一流のオーケストラの一つであることは論を俟ちませんが、私個人としては、特に1960年代の響きの素晴らしさが強く印象に残っております。
典型的な演奏として、例えばシューリヒト指揮によるブルックナーの交響曲第8番と第9番の録音があります。
この弦の美しさは、殊に筆舌に尽くしがたく、始めてレコードで聴いたときには思わず涙があふれてきたものです。

このブラームスの交響曲全集に話を戻しますと、いずれもまことにユニークな演奏ではないかと思います。
バルビローリの演奏には独特の「ため」のようなものがあり、それゆえに例えば第1番などは人によって好みが分かれるのではないでしょうか。
私も、第4楽章の終結部のコラールを聴いたとき、そのたっぷりとした表現にちょっと驚いたものです。
しかし、決して冗長なわけではなく、バルビローリにとって必然ともいうべきいき方なのでしょう。
始めは驚きましたが、聴きこむほどに引き込まれていく演奏です。
第2番と第3番も、文句のつけようもない素晴らしさです。
第2番は、この曲における決定版の一つではないかと思われますし、弱音の表現に拘った第3番も、「なるほどこの曲はこういう曲だったのか」と改めて気づかせてくれる演奏です。
そして第4番!
これは聴いていて胸を鷲掴みにされるような演奏でした。
ブラームスの交響曲の中でも、私は特に第4番がお気に入りで、レコードやCDも数多く所持しておりますが、これはそのトップクラスに位置する演奏だと感じております。
私は以前、チェリビダッケがミュンヘン・フィルを率いて来日した折に、この曲の実演を聴いたことがあります(1986年10月)が、これは全身寒気立つほどの超絶的な演奏でした。後にも先にもこれをしのぐ実演に巡りあうことはないだろうと確信したほどです。
それでも、レコードやCDに限って云えば、すぐさま数多の名録音を想起することができる。
そのかずかずの名録音の中に、このCDも入りました。

バルビローリは、1970年、ニュー・フィルハーモニーを率いて初来日をする直前に心臓発作で逝去します(享年70歳)。
その来日を楽しみにしていた日本の音楽ファンの失意は如何ばかりだったことか。その当時中学生だった私は、当然、この名指揮者の名前も知らず、もちろん、来日が実現していたとしても、当時の環境を慮れば聴きに行くことはほぼ不可能であったと思います。
それでも、こうして残された録音を聴くことができ、その瞬間、時間は無意味なものとなる。すごいことだなとしみじみ思います。

ブラームスが、交響曲第1番を作曲するのに二十有余年をかけたのは有名な話です。
ベートーヴェンが、このジャンルにおいて不滅の傑作を9曲も残したことから、これを超える作品を作れる目途が当時の作曲家たちには全く立たなかった。
ブラームスは、バッハやヘンデル、ハイドンやモーツァルトなど、バロック後期から古典派までの作品の研究や改訂を熱心に行っていたことから、交響曲というジャンルで一端の作品を作り上げる難しさをもまた痛感していたことでしょう。
何度も何度も書き換えてようやく完成した第1番も、ハンス・フォン・ビューローの「ベートーヴェンの第10番目の交響曲」という賛辞(皮肉?)を俟つまでもなく、その影響から完全に解き放たれるわけにはいきませんでした。
第1番を聴いた友人から「第4楽章はベートーヴェンの亜流のようだ」といわれたブラームスは、「そんなことはロバにだってわかるさ」と吐き捨てたそうです。
そうした葛藤を経て、第2番・第3番と発展を重ね、ついに不滅の第4番の交響曲に至る。
ブラームスの交響曲を聴いていると、なんだかそうしたブラームスの深い想いがひしひしと伝わってくるような気がしてなりません。

そういう、完成度の高い曲だからということもあるのでしょうが、ブラームスの交響曲は、実力のあるオーケストラが演奏した場合、あまり指揮者を選ばないような気がします。
つまり、楽譜に書かれた指示を守って正確に演奏すれば、ほとんど破綻なく聞かせることができるのでしょう。
私が苦手としているカラヤンでも、ブラームスの交響曲だけはあまり抵抗なく聴くことができました(尤も、ほかに聴きたいレコードやCDがたくさんあるので実際にはほとんど聴くことはありませんが)。
そうであるだけに、個性的でありながらも心を揺さぶられる演奏というものにはなかなか出会えません。
このバルビローリ&ウィーン・フィルの演奏は間違いなくそうした演奏のひとつであると、私は確信しております。
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のら人

折角桜が咲いているのに、中々好天らしい好天が無いですね。
困ったものです。^^;
山桜ならばこれからが旬ですから、それを待ちます。
by のら人 (2016-04-07 12:00) 

夏炉冬扇

クラシックは朝聴くのが私には合うようです。
by 夏炉冬扇 (2016-04-07 18:33) 

伊閣蝶

のら人さん、こんばんは。
今日も大荒れで、桜には無情の風となったようです。
それでもいくつかの樹はまだ花びらをつけていて、もしかすると週末までもつかもしれないと思わせました。
これからは山桜や八重桜の季節になりますね。
by 伊閣蝶 (2016-04-07 22:11) 

伊閣蝶

夏炉冬扇さん、こんばんは。
私も子供の頃から、朝、音楽を聴くのが習慣でした。
今でも通勤の最中はその延長となっています。
by 伊閣蝶 (2016-04-07 22:12) 

サンフランシスコ人

「ブラームスの交響曲の中でも、私は特に第4番がお気に入り.....」

http://archives.nyphil.org/index.php/artifact/9ed2daec-f4ef-488c-a6b0-67d12522cee7/fullview#page/1/mode/2up

1936年、バルビローリがニューヨーク・フィル定期演奏会でブラームスの第4番を指揮...
by サンフランシスコ人 (2016-04-08 03:28) 

伊閣蝶

サンフランシスコ人さん、こんばんは。
以前にもこのブログで申し述べましたが、私もブラームスではとりわけ第4番の交響曲が好きです。
それにしても、こういう資料がきちんと残されていることに感動しました。
by 伊閣蝶 (2016-04-08 23:18) 

サンフランシスコ人

「バルビローリは、1970年、ニューヨーク・フィルを率いて初来日.....」

ニューヨーク・フィルではなかったと思いますが....
by サンフランシスコ人 (2016-04-09 02:50) 

伊閣蝶

サンフランシスコ人さん、こんにちは。
ニュー・フィルハーモニーの間違いでした。
ご指摘、心より感謝申し上げます。
by 伊閣蝶 (2016-04-09 11:38) 

サンフランシスコ人

「ブラームスではとりわけ第4番の交響曲が好きです.....」

ドホナーニ時代に、クリーヴランド管弦楽団の演奏会で、4番を聴きたかったです...
by サンフランシスコ人 (2016-04-10 04:14) 

サンフランシスコ人

「1936年、バルビローリがニューヨーク・フィル定期演奏会でブラームスの第4番を指揮.....」

フルトヴェングラーもニューヨーク・フィルの定期演奏会でブラームスの第4番を指揮..

http://archives.nyphil.org/index.php/artifact/49ecb271-0462-4cf8-9a43-4a051efd4aab/fullview#page/1/mode/2up
by サンフランシスコ人 (2016-04-10 05:26) 

伊閣蝶

サンフランシスコ人さん、こんばんは。
ドホナーニとクリーブランド管によるブラームスの交響曲全集はCD化されていて、これも素晴らしい演奏ですから、実演はさぞかし、と思われます。
でも、その機会はこれからもないとはいえないと思います(クリーブランド管の桂冠音楽監督ですし)ので、そこに期待、ですね。
フルトヴェングラーの同曲の演奏も素晴らしいものでした。
by 伊閣蝶 (2016-04-11 23:23) 

サンフランシスコ人

「フルトヴェングラーもニューヨーク・フィルの定期演奏会でブラームスの第4番.....」

カール・ベームもニューヨーク・フィルの定期演奏会でブラームスの第4番....

http://archives.nyphil.org/index.php/artifact/9bc755ed-1a7e-4f29-963e-f59ea63aa539/fullview#page/1/mode/2up
by サンフランシスコ人 (2016-04-12 05:50) 

伊閣蝶

サンフランシスコ人さん、おはようございます。
いつも大変貴重な資料をご紹介いただきありがとうございます。
by 伊閣蝶 (2016-04-12 07:19) 

サンフランシスコ人

オイゲン・ヨッフムもニューヨーク・フィルの定期演奏会でブラームスの第4番...

http://archives.nyphil.org/index.php/artifact/2842b474-bc8c-41cf-9024-f94902567748/fullview#page/1/mode/2up
by サンフランシスコ人 (2016-04-14 01:33) 

伊閣蝶

サンフランシスコ人さん、こんにちは。
ヨッフムのブラームスも素晴らしい。
正に自家薬篭中の演奏だと私も思います。
by 伊閣蝶 (2016-04-14 12:33) 

サンフランシスコ人

ジョージ・セルもニューヨーク・フィルの定期演奏会でブラームスの第4番....

http://archives.nyphil.org/index.php/artifact/8d54c9e0-32af-4d59-a875-b7ceb1b43338/fullview#page/1/mode/2up
by サンフランシスコ人 (2016-04-15 00:57) 

サンフランシスコ人

「ドホナーニ時代に、クリーヴランド管弦楽団の演奏会で、4番を聴きたかったです.....」

ドホナーニ/クリーヴランドの第1番と第3番を実演で聴くことができました....


by サンフランシスコ人 (2016-04-15 05:44) 

サンフランシスコ人

ブラームスの交響曲第4番.....レナード・スラットキン&デトロイト交響楽団....

http://www.youtube.com/watch?v=fxsJ9qSsBpw

昨シーズンの演奏会の動画だと思います...


by サンフランシスコ人 (2016-12-18 06:30) 

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