So-net無料ブログ作成
  • ブログをはじめる
  • ログイン

日南・北郷の岩壺山(敗退) [山登り]

このところ梅雨の中休みといった感じで晴れ、気温も30度を超えたりしています。
それでも梅雨空になると気温は一気に20度前半に落ち込むので、油断はなりませんね。

そんな梅雨の晴れ間を利用し、久しぶりに宮崎の山に出かけてきました。
二年前に登った花切山の付近を調べていたときに印象に残った岩壺山に登ろうではないか、と、九州の山仲間に誘われたのです。
連れ合いも、「せっかくのお話なのだからいってらっしゃい」と言ってくれたので、その言葉に甘えたところです。

岩壺山は北郷町の北に聳える738mの山です。
標高的にさほどの高さではないと思われるかもしれませんが、このあたりで700mを超える標高は貴重な高さです。
下調べの段階の情報では相当に山深い感じで、猪八重川の源頭に位置する登り甲斐のありそうな山でした。

6月23日、雨の中を宮崎まで飛び、北郷町に向かいました。
二~三日前の予報ではこの週末は雨だったので、降りしきる雨の様子にかなり悲観的な想いとなっておりましたが、なんと前線が南に下がって、日曜日からの南九州はぽっかりと晴天になる予報に変わっていました。

24日は絶好のお天気となり、勇躍して猪八重渓谷駐車場に向かいます。
iwatubo01.jpg
駐車場には、我々以外の車は一台も見当たりませんでした。

猪八重渓谷遊歩道は入り口から最奥の五重の滝まで2.6kmあり、距離もさることながら、吊橋を含む7つの橋を渡り、勾配もかなり急で上り下りもあり、遊歩道とは云い条、しっかりした足回りを要求されます。

降雨が続いたためか、水量はかなり多い印象です。
iwatubo02.jpg

こんな切通のようなところもあります。
iwatubo03.jpg

わきから流れ込む支流に威圧的な滝がありました。
iwatubo04.jpg

こんなところは丹沢の檜洞を思い起こさせます。
iwatubo05.jpg

これは流合の滝。
iwatubo06.jpg

これが岩壺の滝。
iwatubo07.jpg

そしてこれが五重の滝です。
iwatubo08.jpg
豊富な水量を落としております。奥の直漠を登るためには右壁をアブミで越える必要がありそうですね。
尾鈴川のケヤキ谷に同じような感じの紅葉の滝がありました。
やはりアブミで乗越したのですが、そのときのことを思い出しました。
尤も、今回は沢登りではありませんから、眺めるだけですが。

遊歩道はここが終点です。
ここから本太郎駐車場までさらに急登が続きます。

登りきると本太郎駐車場。
iwatubo09.jpg
ここに通ずる林道は崩壊しており、いまだに復旧の予定もないことから、当然のことながら車の影もありません。

さてここからが本日のメインイベント。
不明瞭な踏み跡をたどって岩壺山を目指します。
ふと、同行者の様子をうかがうと、どうも顔色がよろしくありません。
どうしたのですかと尋ねると、実は体調が思わしくなく、ここまでは付き合えたのだが、これ以上は厳しいご様子。
申し訳ないが、私はここからゆっくり猪八重渓谷の駐車場に戻るので、一人で登ってきてくれないか、とのこと。
いや、それは心配なので私もここから引き返しましょう、と申し上げたのですが、飛行機を使ってここまで来てくれたのにそれではあまりにも申し訳ない、私は一人で戻れますから、どうか行ってきてくださいと言われてしまいました。

正直に云えば、ここまで来たのだから先に進みたいという気持ちが強く、それでは恐縮ですが、行かせていただきますと、答えました。山屋は自分勝手だなと思いつつ。

そんなわけで思いがけず単独行となったのですが、どこか少し気持ちが楽になったことも否めません。

本太郎駐車場から林道を進むと、道標が現れました。
iwatubo10.jpg

この道標が曲者で、矢印の方向には踏み跡はありません。
仕方がないのでトライアルパーク北郷方面に進むと、草の生い茂った広場に簡易トイレが埋もれている場所に出ました。
そのあたりをしばらく調べてみましたが、確信の持てる踏み跡は見つからず、いったん道標の地点に戻ります。

慎重に辺りを調べてみると、右側の斜面をのっこすところにたよりなさげなテープを見つけました。
そこを藪を漕いで登ります。
iwatubo11.jpg

しばらく藪を漕いで行くと、小さな沢に降りる崩壊した斜面に行き当たりました。
テープに従って、慎重に崖を降りて登り返します。
iwatubo12.jpg

とにかく猪八重川の方面に向かうことを考え、沢音のする方向に進むと、最初の渡渉点に出くわしました。
iwatubo13.jpg

しばらく行くと、またまた渡渉です。
iwatubo14.jpg

何度か渡渉を繰り返します。
iwatubo15.jpg
iwatubo16.jpg
iwatubo17.jpg
水量が多いので、そのまま流れに入ってわたるしかありません。
私は今回も地下足袋でしたので、足が濡れることには何の躊躇も感じませんが、山靴ですとかなり抵抗があるかもしれません。
転石には水蘚がついていますから、不用意に足を乗せると滑る可能性が高く、山靴を履いて濡れるのを嫌がりそんな転石乗ったりすると、重大な事故につながる虞もあります。
流れもかなり急ですから、思い切って水の中に入るのが一番いいのではないかと思います。

何度か続いた渡渉も、最後の方になると流れも穏やかになります。
iwatubo18.jpg

渡渉が終わると本格的な登りとなります。
急な登りももちろん厳しいのですが、随所に現れる急斜面のトラバースには要注意。
一か所だけロープが張ってありましたが、そのほかのトラバースも、ほとんど崩壊した踏み跡を拾いつつ、崩れる足元をだましだまし通過する必要があり、かなり神経を使いました。
雨が続いたことによって斜面がかなり不安定になっていることもその要因でしょう。

嫌らしいトラバースと木の根をつかんで登るような急登を稼ぐと、久しぶりに道標に出合いました。
iwatubo19.jpg

斜面を登りきると、また下り、さらに登りが続きます。
同じような感じの上り下りが果てしなく続き、何だかデジャヴ感にとらわれて、あー、またかよ、みたいな悪態をついてしまいました。
椎名誠さんがキリマンジャロに登った時の紀行文に、キリマンジャロのように目標の山がそこにあって、それに向かって登るのは誠に良いという描写の中で、次のような文章があります。
「これまで登った日本のいくつかの山行では、行けども行けども目的の山が見えず、やっと『あれか』と思って迫っていくと『違うんだもんね、あれはにせ××岳だもんね』などと言われて、よく欺かれた」

これは全くその通りで、そういう山登りに何度も出会っていますが、今回もまたその類です。
うんざりしながら急登急降下を繰り返すと、また道標に出合いました。
iwatubo20.jpg

これはもうそろそろかな、と思いつつ頑張って登ると、やはりその先にアップダウンが待っています。
なかなか厳しいなあ、と思いつつ、足元の悪い尾根を頑張って登り続けました。

いくつかの峰を越えて、どうやらあれが目的地の岩壺山かと思われる地点に達し、もうひと頑張り!と気合を入れていたら、尋常ならざる吠え声とうなり声が聞こえてきました。
私のこれまでの乏しい経験からしても、これはクマに間違いなく、それも完全に近づくものに対する威嚇と感ぜられました。
恐らく子熊がいる母熊なのでしょう。
このまま突っ込むと、かなりの確率で修羅場を見ることになる、そう考え、頂上は間近ではありましたが、潔く戻ることにしました。
単独行で、しかも同行者が駐車場に待っている状況です。
何かあれば、多くの人に多大な迷惑をかけてしまう、そのことが頭を巡ったわけです。
それでも、変に慌てて退却をすれば相手に襲われる可能性もありますから、とにかく静かにその場を立ち去り、しばらくしてから行動食を摂って気持ちを静めました。

何か追い立てられるような感じで、さらに山頂を踏めなかった無念さを抱きつつ、それでもつとめて冷静に下山を続け、剣呑なトラバースと藪漕ぎを継続しながら本太郎を目指し、駐車場に到着した時にはさすがに安堵しました。

猪八重渓谷駐車場には15時30分過ぎに到着。
久しぶりにほぼ単独の7時間行動となりました。

クマをはじめ、山の中ではマムシにも二度ほど出会い、この山域の山深さと自然の豊富さに驚嘆しました。
山頂を逃したのは無念極まりないことですから、是非とももう一度訪れてみたいと思っています。

花立山に続く道路から眺めた岩壺山方面の眺望です。
iwatubo21.jpg
立派な山容ですね。

ところで、今回の山行では、予想はしていましたが蜘蛛の巣に引っかかりまくり。
それは猪八重渓谷遊歩道でも同じことで、行きに引っかかりながら払った蜘蛛の巣が、帰り道でも張り直してありました。
蜘蛛の頑張りに感動しつつも、この梅雨の晴れ間の日曜日という絶好の散策日和に、ほとんど人が訪れなかったことには、非常に残念なものも感じたところです。
素晴らしい景観なのですから、地元自治体ももう少し宣伝に力を入れてみたらどうだろうと、大きなお世話と思いつつ、感じてしまいました。

nice!(19)  コメント(9) 
共通テーマ:スポーツ

nice! 19

コメント 9

のら人

渓相も素晴らしいですね。
お疲れ様でした。^^
頂上は残念でしたが、7時間も歩ければ大自然を満喫できたことでしょう。自分もそろそろ西へ遠征したいところです。
by のら人 (2018-06-28 05:37) 

伊閣蝶

のら人さん、こんにちは。
猪八重川は本当に素晴らしい渓相でした。
源頭に至るまでナメが続き、沢登りを目的に来るのも一興だなと思っています。
九州の山は、百名山などを除き、まだまだ静かなところが多くあります。
少しずつでも登り続けたい衝動にかられます。
by 伊閣蝶 (2018-06-28 12:47) 

tochimochi

738mの標高でこの険しさですか!
ルートファインディングも苦労されたことでしょう。
初めから地下足袋装備で渡渉も厭わずというのもさすがです。
さらに熊との遭遇でも冷静沈着な対応には安堵しました。
山頂を踏めなかったのは残念でしたが、登り甲斐のある山で満足感も得られたことでしょう。
ぜひリベンジしてください。
by tochimochi (2018-06-28 20:50) 

伊閣蝶

tochimochiさん、こんばんは。
山、高きが故に尊からず、などといいますが、そういう山域だと思いました。
全うな山歩きから遠ざかっていたのでちょっと不安ではありましたが、藪こぎや徒渉や剣呑なトラバースを繰り返すうちに、だんだん山の勘が戻ってきたようにも感じました。
山頂を逃したことは無念ですので、是非とも他日を期したいと思っています。

by 伊閣蝶 (2018-06-28 21:46) 

Jetstream

渓流登り、急峻な登り、偽ピーク、ヤブ、マムシ・・クマの鳴声といい多難なルートを歩かれましたね。お疲れ様でした。
自然のまま残された山は静かな歩きと程よいテンションが楽しめます。うまく対処され事なき得て下山された安心しました。流石です。私は最近はゆる登山ばかりで、このような記事拝見するとバリもたまにはトライしたほうがいいと思いますが、難儀なこともあるんで尻込みする気持ちと入り交ざります。(笑)
by Jetstream (2018-06-29 13:13) 

伊閣蝶

Jetstreamさん、こんばんは。
このごろとみに、混み合うところが苦手になってきていますので、山歩きも必然的にメジャーなコースを避けつつあります。
そんなわけで、今回のように地形図にも記載のないようなルートをとるようになってしまいました。
確かにリスクはありますが、山の勘を取り戻すのには最適と思います。
日本は山国なので、そういうフィールドはまだまだたくさんありそうですね。
Jetstreamさんのアクティブなご活躍にいつも大変な刺激を受けております。

by 伊閣蝶 (2018-06-30 21:10) 

サンフランシスコ人

サンフランシスコでは、4月16日以来、ずうっと雨無しです...二回30度を超えたと思います....

by サンフランシスコ人 (2018-07-13 06:18) 

伊閣蝶

サンフランシスコ人さん、こんばんは。
こちらでは大変な大水害が発生しています。
地域によってやはり大きく異なるのですね。
by 伊閣蝶 (2018-07-14 21:34) 

サンフランシスコ人

サンフランシスコでは、最高気温約20Cと最低気温約12Cの日が続いています....
by サンフランシスコ人 (2018-07-16 03:52) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。